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「改行が」じゃなくて「改行も」じゃないかと思う今日この頃
01.13 *Mon
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05.30 *Mon
今日の伊作に何があったの……!!
TLがとってもざわざわしていたようなのでとっても気になってます。
公式が最大手ってどういうことなのおおおお!じたんばたん!
あしたおやすみなのでゆっくり見よううううどきどき///

本日も拍手たくさんありがとうございます(*´∀`*)
今日はツイッタログですみません!
食伊と文章リクエストいただいたいろいろ。



さよならの一言を舌に乗せるのを躊躇った。どうしてもそこに隠していた気持ちがこもってしまいそうな気がしたから。柔らかな春の匂いと、ふわりとお互いの髪を揺らした風。攫われた前髪の向こうに泣きそうな顔の伊作がいる。「いさ、」「さよならだね」零れ落ちた言葉は簡単に心臓を止めた。

留三郎は黙ったままだ。ずきりと痛む心臓が涙腺までもを侵食していくようで、泣いてしまいそうだった。だけど泣いたら困らせるだけだと知っている。この恋心にとどめをさしてほしいなんて甘かったな、と思う。風が前髪を掻き上げて視線があった。この恋心にとどめをさすのは自分自身だ。



平日の昼時だというのにローカル線の中はざわめきに満ちていた。ドアに寄りかかって向かってくる景色を見る。目の前で過ぎていく方を見る留三郎も自分も、手荷物一つのふらりと遊びにいく格好。だけど目的地は明確じゃなかった。まるでなにかから逃げるように電車に揺られている。
「ねぇ、留三郎」景色から視線をあげて留三郎をちらりと見上げる。逃げるという表現は正しくなかったかもしれない。僕たちはたぶん、探している。「なんだよ」そう答えた留三郎に曖昧に笑った。少しだけ、僕のために全部捨ててなんていったことを後悔したといったら留三郎は怒るだろうか。



(かぼてさんリクの食伊)

少し蒸し暑くなってきたとはいえ、建物の中に入ってしまえば気にならない程度だった。それに加えてどこか神聖な気分になるその場所には独特の涼しさがあった。
「伊作」
呼ぶ声は高い天井に跳ねて響いて、入り口あたりで辺りを見渡していた伊作がその声ににっこりと笑う。聖歌も祝福の言葉も小綺麗な正装も、なにもないけれどお互いの暖かな眼差しがあれば十分だった。確かめるように一歩一歩進んできた伊作の、先ほど買った指輪がきらりと光る左手をとる。
「留三郎」
こちらをまっすぐに見つめる伊作の口がそう形作って、音になって鼓膜を揺るがす。
「ちゃんと幸せにしてね」
そういって伊作の目が閉じられる。どうかしたら泣いてしまいそうなくらいに幸せな気持ちが押し寄せてきてその唇を塞いだ。誓いの言葉を問い掛ける神父なんていやしないけど、ゆっくりと重なった唇さえあれば、それだけできっと十分なのだ。



(サイさんリクの木勘)

じっと先生の顔を見つめてみたけれど先生は少しもたじろいでくれないからちょっとつまらない。それもそのはずで、先生の視線は先生と自分の間にある忍たまの友に落ちている。だけどくじけず見つめているとふっと先生が顔をあげて視線があった。―そらしたのは自分が先だった。こちらの行動に一瞬眉をしかめた先生はすぐに「これだったら座学の先生に聞けばよかろう」なんていう。俯いた視界に文字列をなぞる先生の指先。心臓が少し跳ねた、気がした。
「先生がいいんです」
先生の顔を見れないままそう呟くと、呆れたようなため息とともにくしゃりと頭を撫でられた。「だったらまず平静でいられるよう鍛練せい」だなんて、誰のせいだと思っているのだろう!ちらりと見上げた横顔がいつもよりも柔らかい眼差しを見つけてしまったから、先ほど頭を撫でる手のせいで加速した心臓がさらにスピードを上げたのがわかった。



(saiさんリクの文伊)

気持ちのいい風がぱたぱたと帳簿を揺らして頬を撫でた。その心地よさにほっとため息ひとつ、ふと先ほどまでなかった気配に気付く。「なにしてんだ、伊作」振り向くこともしないで名前を呼ぶとむうと言葉に出して頬を膨らましたことをアピールされてしまった。
「なんでわかるのかなあ」
「鍛練がたりん」
残念そうにため息をついた伊作はぺたりとこちらの横に座る。
「なにかよ」
うかよ、と言い掛けた言葉は伊作の予想外の行動でどこかに消えた。こちらの腕をとった伊作はぱたりと畳に倒れこんだのだ。もちろんこちらの身体を道連れにして。
「また寝てないでしょ」
眉をしかめた伊作の指先が目の下の、たぶん隈があるであろうところに触れた。
「だから君は今から僕とお昼寝です」
その言葉に逆らえないのは間違いなく惚れた弱みってやつだ。爽やかに風が駆け抜ける。閉じていく瞼に最後に映ったのは柔らかに笑った伊作の顔だった。



(竹村さんリクの孫さも)

柔らかな日差しが二人の上に降り注いでいる。ふああと欠伸をすると左門がくすりと笑った。いつもと違う、どこか大人っぽい笑い方に心臓がとくりと跳ねる。緩やかに左門の方を向くとその笑い声とは違う、幼さの抜けない顔で笑っている左門がいた。やっぱり心臓が跳ねた。
「まごへ、眠い?」
指先がこちらの頬に触れる、日差しの温度に似た指先の温度は心地よくて左門の問に頷くこともせずに、動くままに任せる。沈黙をどう解釈したのか、指先は瞼を閉じるように動く。
「おやすみ、孫兵」
その声に応えようとしたのにそれより先にゆっくりと思考が沈んでいく。



(どらちゃんリクのタソガレ/ちょいえろ?)

もうすでに日が暮れてだいぶ時間がたったというのにぽかりと浮かんだ満月のせいで灯りすら必要ないくらいだった。窓枠からはみだしてしまいそうな月は忍にとっては必要のないものでしかないけれどその存在自体は尊奈門は嫌いではなかった。届かないそれは組頭を思わせるところがある。強い光を放つわけではないのに、見ずにはいられない存在。足音をたてないように注意しながら尊奈門はそんなことを思う。物音一つしない廊下からひたひたと冷たさが上ってくるけれど、夏の風にさらされた身体にはちょうどいい。
だがそう思えたのも組頭の部屋に続く角を曲がるまでだった。押し殺したように響く甘ったるい声と、たぶんこちらの存在に気が付いているのであろう低い声。その声に呼応するように一段と高く響いた嬌声の主はこちらの気配には気が付いていないのだろう。誰かなんて考えなくてもわかった。
組頭に呼ばれてこの部屋に来たのだから、がらりとその戸を引いてしまってもいいのだけれど、そんなことをしたらきっとさきほどから甘いため息の絶えない先輩に今後、あることないことぐちぐち言われることが目に見えていた。大きく息を吐いて組頭の部屋の前に座り込む。
もしわかってやっているのだったら、否、十中八九組頭はこうなることがわかっていたと思うのだけれど、いったい何がしたいのだろう。それでもそばにいることをやめられないあたり、尊奈門自身、高坂とあまり変わらない。どうしてかずきりと痛む心にそっと蓋をするように息を吐いた。耳をすませたくなくても聞こえてくるその甘い甘い声がまるで悲鳴のように聞こえて「苦しいならやめてしまえばいいのに」と呟いたけれど、自分自身の心をざくりと抉っただけだった。
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