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「改行が」じゃなくて「改行も」じゃないかと思う今日この頃
04.12 *Sat
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12.17 *Fri
書き始めたら止まらなくなったので\(^o^)/
鉢雷、雷蔵さん男前プロポーズ。
こんな鉢雷の関係が好きです。雷蔵さんはけして、甘やかそうとしているわけでも、同情しているわけでもなくて、ただ三郎さんが好きで一緒にいたいだけ。
しかしあれですね、ところどころに今読んでる翻訳ハードボイルドものの影響が見られますね。スカダー・・・お前はいい奴だよちょっと自虐気味だけど。





「一人でも大丈夫だと思ったのに」

ゆっくりと雷蔵の装束にしわを寄せる。さみしい、苦しい、さみしい。声にならない言葉だけが、口にする必要もないくだらない言葉だけが、頭の中をぐるぐると駆け巡っていた。雷蔵は赤子のようにしがみついたこちらの腕を引き離すことなんてせずに、ただ彼を真似たふわふわの髪の毛を撫でて、それから「うん」とだけ言った。

「雷蔵はずるいよ」

もうこの手を離せないじゃないか。言いがかりみたいだ。我儘だと知っている。雷蔵がそれを、怒らないで聞いてくれると知っている。雷蔵は案の定そうさせたのはお前じゃないかと笑った。そうなのは僕も一緒じゃないか。さらりと一言落とす。びっくりして雷蔵を見た。やっぱり雷蔵は笑っている。笑っている。それがとても素晴らしいことみたいに。

「僕は一人で生きていけないなんて思わないけど、この手を離したいだなんて思わないよ」

ねぇ、なんでか知ってる?雷蔵の声はしんしんと心臓に降り積もる。自分はこの声がなくても生きていけるだなんて思えなかった。けど蓋をすることはできると思った。蓋をするつもりだった。雷蔵はいとも簡単にその蓋を開けて、中身を受け止めてしまうのだ。どんなに醜くても、どんなに汚くても。雷蔵が笑えばそれがすこしだけ許されるもののような気になる。たぶん、許されている。

「だから一緒に行こう、三郎」

優しい右手がそっと頬に触れている。視線がふわり、絡まった。雷蔵はどうして自分が一度諦めた未来まで拾って手をつないでくれるのだろう。わからない。わからないけれど、自分がこの手を離したくないと思っていることくらい、きっとわかっている。



ひとり/クワガタP
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