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がちゃり、とドアノブのまわる音がしたから読んでいた雑誌から顔をあげる。二人で暮らし始めるときに買った、男二人には似合わないキャラクターものの時計が21時半を、一緒に暮らしている留三郎の帰ってくる時間をさしていることに気づく。ぱたん、と勢いよく雑誌を閉じると、部屋のドアが開いて、そうして留三郎が「ただいま」と顔を出した。おかえり、と返すと留三郎は机の上に右手で持っていた近くのコンビニの袋を置いた。いつも通り、ビールとチューハイが一本ずつ。ビールは留三郎で、チューハイは僕のだ。たまに勝手に留三郎のビールをいただいて、ビールは苦すぎる、と文句を言うと、お子様だなぁといつも留三郎は笑う。同い年なのに、だ。
それともうひとつ、見慣れないものが袋に入っている。

「―ケーキ？」

新発売、ときらきらしたシールが貼ってあるパックにはチョコレートケーキと思わしきものが二つ詰められていた。

「好きだろ？」

留三郎がそういう。―実は留三郎は甘いものが好きで、たまに僕が好きだという口実をつけて買ってくることは知っていたのだけれど、それを言うと拗ねてしまうだろうからそこのところには触れないで、「ありがとう」と言った。


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食満はおとめんの資格を兼ねそろえた男ではなかろうかと思う。

鉢屋は甘いもの嫌いだけど雷蔵がどっちを食べようか迷ってると、じゃあ私がこっちを頼むから雷蔵はこっちを頼みな、っていって半分以上雷蔵にあげてしまうんじゃないかと思う。
久々知はすごくきれいに食べそう。
竹谷は久々知にあーんして食べさせるのが好きそう。
食満はたぶん甘党だけど甘党だって言えない。

なんてことを最近出た新商品シュークリームのせいで延々と考えています＼(^o^)／

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先ほどから虫の世話に夢中になっている竹谷はこちらを見てくれない。暇だなと思って、じとっとした目で見つめても無視だ。ハチのくせに生意気！そう思うけれど口にはしなかった。答えてくれないことはわかりきっているからだ。自分だってなにかに夢中になって答えられないときだってあるけれど、せっかく二人でいるのにどうしてこちらをむいてくれないのだろう！―そんな事を思ってしまう自分がなんとなく女々しくていやだ。

「ハチ」

口の中で転がす。ふくらました頬に気がついた竹谷がごめんごめんと謝ってきたってしばらくは許してやるもんか、と思うけれど―実際にそうされたらきっとすぐに許してしまうんだろうな、と思った。


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レゾンデートル頂戴/YM

のにおP歌唱を聴きながら書いたってだけです。

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どちらが好きか、なんて無意味なことだから聞きたくはないけれど、それでも胸をよぎることはある。ジュンコに構っていてこちらを向いてくれない時だとか、そういうときは特に。左門とジュンコじゃあいる場所が違うもの。と孫兵は言うけれど、それを信じられるほど素直でも子供でもなかった。否、子供だからこそ信じられないかもしれないのだけれど。
じっと見つめていてもなかなか孫兵は振り向いてくれなくて、しばらくするとつまらなくなってやめる。さみしいだなんて思わないけれど、―思いたくないけれど、自分がそばにいるときくらい、こっちを向いてくれてもいいのにだなんてわがままなのだろうか。