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足元に転がっていた誰かが捨てた弁当箱を見えない位置に押しやった。人の少ない車内はひどく静かで車掌の喋る声が眠気を誘う。窓から見えるがらがらのホームには留三郎はいない。恥ずかしいからお見送りはしなくていいよ、そう言ったのは自分なのにどうしようもなく淋しいだなんて勝手なことを思う。


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遠距離食伊を書こうと思って挫折するなど。


以下拍手お返事！
七月りらさま＊
ご無沙汰しております！奈良お勧めスポット紹介ありがとうございました！
おおおやっぱり興福寺は行っとくべきですよね・・・！金剛力士像了解しました！しっかりこの目に焼き付けてきます＜＞＜＞
薬師寺は行きたかったのですが旅行日程上ちょっと難しくなりました；
いつか奈良のお寺を制覇したい・・・！
中国風のお寺いいですよね！以前長崎のお寺で朱塗りの門を見たことがあるんですが、なんというか別世界って感じがして素敵ですよね(*´∀`*)
今時期は絶対ものすごく暑いですよね・・・負けないよう頑張ってきます！
ありがとうございましたー(´∀`)


環さま＊
はじめまして、環さま。拍手、そしてもったいないぐらいの言葉ありがとうございます・・・！！うわあああ、か、感動だなんてそんな・・・！少しでもうちの二人にキュン、としていただけたのなら嬉しいです゜*。(*´Д`)。*° 嬉しくてちょ、もう涙が（ぐずぐず、ちーん）（すいません、ちょっと深呼吸してきます・・・！）
はちふわ企画はもう、半端なかったですよね・・・！私もまだはまりはじめて一年たたないくらいなのですがもう気がついたら抜け出せないところまで来ていました笑
常に迷走しておりますがこれからもこそこそと更新頑張りますね（`・ω・´）
本当にありがとうございました・・・！お暇なときにでもまた、来ていただけたり構っていただけたりすると嬉しいですー＞＜

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そうだ、髪を切ろう、と思った。伸びすぎた前髪が目に入っていたいから。ほんの三か月前まではこんなことなんてなかったのにな、と思う。僕の前髪はいつだってちょうどいい長さに整えられていて、それは髪全体にも言えることだった。どうしてこうなったんだっけ。鏡を見るとぼさぼさ頭で、目はうつろ。先輩寝てますか、とこれは後輩も怒るわけだと自嘲した。三か月前、そう、留三郎にお別れを告げてから。
留三郎は僕の恋人だった人だ。ケンカの理由は忘れてしまったけれど、今でもきっと好きなのだと思う。手先が器用で僕の前髪が少しでも長いとちょっきりと切ってくれた。僕自身は三か月前からなにも変わっていないのに、前髪だけはその間の年月を語っているみたいでさみしくなった。―まずは、電話をかけることから始めよう。第一声は何にしようか。やっぱり「大好きです」かな。留三郎が出てくれるおことを祈りながら通話ボタンを押した。

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(文仙)

お前、足だしすぎなんじゃねぇの…と言われたから見せつけるように大袈裟に脚を組み直して、見せねばもったいないだろう、と鼻で笑ってやった。そんなこちらになにを思ったのか曖昧に笑いを返してきた文次郎は、そんなの俺にだけ見せてればいいだろう、なんていう。

頬に集まった熱は冷めそうにない。慌てて顔を逸らして｢なんだ、今更私の魅力に気が付いたのか｣なんて声が震えている。そんなこちらに目を細めた彼は、そんなのとっくに知ってると言った。知らなきゃ10以上も下の小娘にやきもきさせられたりしない、なんてひどく優しい声で。

｢お前は気付いてねぇかもしらねぇけど、俺は結構独占欲が強いんだよ｣正面から抱き締められた。耳元、跳ねる声。ばくばくと鳴りだした心臓の音が目の前の男に伝わってしまうのが本当に悔しい。10以上も年上のこの人といるからこそ、余裕の表情でいたいのに。

｢ずるい｣呟く。その人にしみついたタバコのにおい。文次郎は、ずるい。年の離れたその人を呼び捨てにするのは少しでも対等でいたいから。それなのにその人はあんまり急ぐな、と言うのだ。俺が、追い付けなくなるだろうだなんて。

ばかもんじ、ずるいと言葉を落とす。おう、ずるくてごめんな。甘やかすみたいな声。どうしてこんなに優しいんだろう。こんなのではこのずるさを、許してあげなきゃいけなくなるじゃないか！｢俺はお前よりだいぶ長く生きてるから、ずるいこともうまいよ｣なんて不器用な彼には似合わないことまで言う。

その日私たちは小さな約束をした。短いスカートをはいてもいいが、なるべく避けることなんておやじくさい注意から―…それから、あとはそう、二人だけの秘密、ということにしておこう。言ってしまうにはとても恥ずかしいことだから。


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(食伊)

「留は飲まないの？」うるんだ瞳、少し赤い頬。20歳になるときに染めたという茶色の髪が蛍光灯の下できらきらと揺れた。「俺、未成年だし？」ふい、とそっぽを向く。たった3つの年の差がこんなにも苦しい。そー？じゃあキスしようよ、と顔が近づいてくる。酔っ払うとキス魔になるなんて反則だ。

「― 悪いけど、酔っ払いともキスしないことにしてんの」慌ててその顔を抑えて接触を回避する。触れた頬は熱を帯びていて、自分の手の冷たさがよくわかった。緊張しているだなんて、バカらしい。「もー留のケチっ」と伊作の頬が膨らむ。そのあともなにか口の中で呟いたみたいだけれど聞こえなかった。

そもそもの話、妙齢の男女が一晩を過ごすだなんて問題だとは思わないのだろうか、と「今日伊作のことよろしくね」と出かけたおばさんの顔を思い出す。幼なじみだから、年が違うから、恋が芽生えないなんてそんなわけはない。気がついたときには目の前でまた缶チューハイをあおるその人を追っていた。

「ねぇ、留、お風呂一緒に入ろうか？」にこにことまた爆弾を投下してくる。「は？」険悪な顔で答えると酔っ払いは「えー小さい頃は一緒に入ったじゃん？」なんて楽しげだ。入るわけないだろ、そもそも家で入ってきたと告げると残念そうな顔をされるから期待してしまいそうになる。そんなわけないのに。


「あーぁ、またうまくいかなかった」酔っ払いとはキスできませんと断られた。冷たいシャワーを浴びながら、ため息。本当は酔ってなんかない。お酒には強い方。ただ、そういうことにでもしなければキスなんて、告白なんて、一生できないと思ったのだ。友人にはずるい、と笑われたけれど。

3つの年の差は、案外に大きい。留三郎の周りにはもっとかわいい女の子があふれているのだろうし―それに、こんな風に泊まりに来てくれるってところからして私に対してその気はないっていうことなのだろう。考えると悲しくなってくるから、それ以上考えないようにシャワーの勢いを強くした。