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びゅーびゅーと音を立ててがらんとしたホームに風が吹き荒れている。今日は金曜日だというのに―いや、だからなのかもしれないが、19時のホームには人が少ない。おかげでより一層身にしみる冷たい風を避けるように俯くと無精で伸びっぱなしになっていた髪が頬を叩いた。

「3月なのにこんなに寒いなんて反則」

ぼそりと落とした文句もすぐに風にさらわれる。容赦なく体温を奪う風に少しでも抵抗したくて、繋がった留三郎の指先の熱を奪おうと握りしめると｢手をつなぐ口実なんだから邪険にするなよ｣なんて、どうせ僕たちは年がら年中手をつないでいるようなもんなのになにをいうのだろう。

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長次の背中は温かくて心地良いはずなのに今はなぜか居心地が悪い。まぁ、理由は簡単で長次に迷惑をかけていることがわかっているからだ。それとくだらない怪我をしてしまったことへの恥ずかしさ。
暴君だとか人間離れした体力の持ち主とか言われるけれど、それがすなわち怪我をしないわけではない。むしろ怪我する回数は他の6年生に比べても多いような気がする。それでもこんな怪我は久しぶりだった。着地に失敗して足をひねるだなんて。間抜けにもほどがある。こつんと長次の肩におでこをぶつけたけれど長次は何も言わない。ただ黙々と歩き続けている。
それはまるで怒っているようでもあって、さきほどまできりきりと痛みを訴えていた足首は今はおとなしくて、かわりになぜか心臓が痛かった。

「ちょーじ、私、歩けるよ」

いくら長次の方がガタイがいいと言っても、こんな筋肉だらけの身体、重くないわけないのだ。収まってきた足首の痛みにそう声をかけるけれど、「いい」とにべもない言葉が返ってきただけだった。

「だって重いだろう」
「―べつに、構わない」

だからおぶわれておけなんてまったく根拠のない言葉なのに、どうしてか説得力にあふれているから困る。しかたないから「うん」と言ってまたその肩におでこをぶつけた。優しい体温に泣いてしまったのは、きっとばれている。


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友人がこへがちょーじにおんぶされてるイラストを書いてくれたのを見て4パターンくらい妄想した中の一つです。自分のせいで怪我をして落ちこんでいる小平太。あとは忍務中に怪我したパターンとただ単にひっつき虫でお腹すいているパターンと寝ているパターンを考えました。どれもおいしいだれかかいてくれ

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夜の帳が降りてどのくらいの時がたったのだろう。ひそやかな兵助の息遣いは緩く緩く、こちらの心臓をくすぐっていた。こんなにも近くにいるのに触れることをためらう指先は緊張しているはずなのに、ひどく熱を持っていた。以前どこかで緊張すると手が冷えるというのを聞いた気がするけれど、気のせいだったのだろうか。

「はち」

くすくす笑う兵助がなかなか頬に触れないこちらの指先にそっと触れた。その指先も熱い。

「くちづけていいか」

なんとかそれだけ告げると、ぷっと吹き出した兵助はいちいち聞かないでよ、てれるでしょなんて本当に照れているのかわからない顔で言うのだ。


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たまにはやられ竹谷。