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「左門」

名前を呼ばれたからそちらを向いた。思ったより近くにいる孫兵の指先がこちらの唇にふれて、口の中にコロンとなにかを落とす。甘ったるい匂いが口の中にどろりと広がった。

「おかし？」

舌先で溶けるその形を確かめながら尋ねると孫兵はこちらの頭を撫でながら「バレンタインだからね」と笑った。聞きなれない単語に「ばれん、たいん？」と聞き返す。ごくり、飲み込む。甘ったるいそれが口の中にまだ残っている気がした。この甘ったるさは孫兵に似ているかもしれない、なんてそんなことを思う。

「バレンタインは、好きな人にチョコを贈る日だよ」

だから、左門に。そういって孫兵がまた笑う。二度、三度その言葉を頭の中で繰り返してやっとその意味を掴む。とくん、と高鳴る心臓はいつだって孫兵のせいだ。おいしい？と聞いてきた孫兵においしいと言葉を返す代わりに、まだ甘ったるさの残る唇を少し背伸びしないと届かない位置にある孫兵の唇に押し付けた。


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さて、私は売れない栗きんとんチョコを処分するべく頑張ってきます。

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がさがさと左門の指が箱の中のピースを漁った。すでにほとんど完成形に近いパズルの半分以上はこちらが作り上げたものだ。冬休みの暇つぶしにと買ってきたそれは、まだ年すらも越していないのに間抜けな黄色い熊とその愉快な仲間たちは姿を現しつくしつつある。あとは左門の領分と決めた右半分の下の方だけだ。草原なのだろう、緑ばっかり続いているから残りのピースも濃淡はあれど緑色だった。

「んー・・・」

頬を膨らましながら真剣に考える左門の、普段はあけっぴろげな口も今は閉じている。ぺたり、と地面に座っている左門よりもソファに座っているこちらの方が若干高い位置にいるから、そのさらさらとゆれる前髪に見え隠れする瞳がよく見えた。しばらく箱の中を漁っていた左門はひとつを摘まみあげて、くるくると回転させながら少しだけ力を込めて空いた部分に押し込んだ。

「んー・・・」
「ちがうんじゃない？」

はまることにはまったそれは、それでもどこかに違和感がある。むぅ、と口に出してうなった左門がピースの結合を解こうと持ち上げたけれど、どうもうまい感じにはまり込んでしまったらしくなかなか抜けなかった。

「離れたくないらしい」

そういって左門が笑った。つられるように笑い返しながら、ふと二人の関係もこんなものなのかもしれない、と思った。本当はつながるべきはずじゃないのにつながった二人はきっと、簡単には壊せない。


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企画サイト様で見かけた百合な孫さもがあんまりにも素敵過ぎて自分でも書こうと思ったんですが一切百合にはなりませんでした。うーん・・・。もっと服装描写とか入れればいいんだろうか・・・。
情景、心理描写は結構好きなんですが人物描写は苦手です＾ｐ＾

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はぁ、と白い息を吐く。暖かだったはずのそれはすぐに空気にまざって透明に冷たくなる。隣で同じように息を吐いた左門が「寒いな」とそのことをあまり苦にしていない口調で言ったから笑ってしまった。
なんで笑うんだ、と少しむくれた左門はしばらくそうして頬を膨らませていたけれど、突然思いついたかのように手を差し出してきた。え？と左門の顔を見返しても、ん、と手だけを差し出される。
冷たいよ、と断って握ったその手もやっぱり冬の冷たさに染まっていた。それでもなんでか二人分の体温が重なったそこだけが少しずつ熱を持ち始めるような気がした。ぎゅ、と小さな右手を握ると左門がにっこりと笑った。

「どうして冷たいと冷たいを合わせたのに暖かくなるんだろうな」

答えなんか知ってるくせにそんなことを言う左門には、仕方ないからもう少し温まってもらうために冷えた唇をその冷えた額に押し当ててあげることにした。


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素敵なメッセージをくださったκ様にささげるともいえないものですが・・・ああありがとうございます、以下拍手レスになります。



κ様＞
ここここんばんはです・・・！拍手、メッセージありがとうございます！こちらこそｓｔｋ・・・あのもうほんとうにありがとうございます！
かわいい孫さもを目指しているはずなんですが脱線しまくりなのでそういっていただけると嬉しいです。孫さもいいですよね！これからももりもり妄想していくので気が向いたときにのぞいていただければ幸いですー！